
声優のギャラについての嘘・本当
昨今の声優ブームというのは凄まじいものがありますよね。
アイドル的な人気を博している方も多数いらっしゃいますし、
小学生高学年〜中学生の「将来なりたい職業Best10」に、声優がランクインすることも珍しくなくなりました。
元々「裏方」の職業であった声優ですが、現在はTVで顔出ししている方も多数いらっしゃいますし、CDが売れないご時世というのを逆に追い風にして、オリコン上位にランクインしている方も沢山いらっしゃいます。
キャラクターソングがbest3入りする・・・こういった現象は20年前には考えられない事でした。
声優ブームはまだまだ暫く続いて行くようにも思います。
これだけ声優の露出が増えれば当然「儲かる仕事なの?」と思われている方も沢山いらっしゃるでしょうし、TVなどでも
「有名声優にギャラを聞いてみた」
のような番組内容で放送もされたりしていますよね。
ただ、昨今聞くようになった話ですが、
TVで言われている・ネットで書かれているギャラ制度は、現実と大分違う
というんです。
この記事では「声優のギャランティー制度」と「現実のギャランティー」について触れて行こうと思います。
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声優のギャラが安い本当の理由
声優のギャラを語る上で、「声優という職業の生い立ち」を振り返る必要があります。
「声優」という職業はTVが出来てから生まれた職業で、当時は舞台俳優や役者がバイトでやっていたことから、
『ギャランティーがとても安い』
これがそのまま現代の声優のギャラに影響しています。
しかも、アニメーション作品は、30分アニメ一本制作するのに1千万以上かかります。
その多額な費用の内訳のほとんどが「アニメーション・画」です。
声優のギャラは「音響制作費(※)」から捻出されているようで、音響制作費は昨今のアニメ業界ではもっとも削られやすい部分だそうです。 ※一部を除く
そう言った背景からも、声優のギャランティーの安さに影響しているようです。
一般的に言われている「声優のランク」と「日俳連」
一般的に言われる「声優のギャラ」というのは
『日俳連ベース』で語られる事が多いです。
『ランク』という言葉も日俳連に加入している役者に適用される言葉です。
他サイトやTVなどでも語られている事ですが、「日俳連について・日俳連のギャラ設定について」お話していこうと思います。
日俳連って結局なんなの?
正式名称は『協同組合日本俳優連合』
約2,500名の俳優が加入しています。
「日俳連」は、協同組合法で認められている団体交渉権を生かして、NHK、民放、製作会社との間で出演条件や安全対策等の団体協約を締結しています。
「日俳連」に入っていれば守られる「最低条件」が、そこに存在します。もし、その条件が守れなかったときは、「日俳連」は皆さんとともに問題解決のために動きます。
引用:日俳連公式サイトより ※一部抜粋
勘違いされている方が割といるようですので書いておきますと、
日俳連に入る為に必要な条件は
「俳優・マネージャーを生業にしている事」
なので、事務所に所属していなくても入会希望をだすことは可能です。(承認されるかは別問題ですが)
なので、「声優=日俳連」というのは間違った解釈です!
わかりやすい一例として、現・日俳連理事長は俳優「西田敏行」さんです。
元々「会社員ではない役者・声優」には様々な部分で権利保障がありませんでした。
労働組合がない俳優・声優業界で、権利を主張するとなると、事務所か個人で制作サイドと交渉するしかなかったんです。
そうなると制作サイドから「では他の事務所の方々を使います」と言われる事などもあり、事務所や役者からは中々強く言えなかったりもしたそうです。
その他にも、「価格競争に歯止めをかけ・ギャランティーを明確にする」なども意味合いもあります。
言ってみれば、一般的な会社の「労働組合」のようなものなのです。
昔は“再放送出演料”も無かったですし“現在よりももっとギャラが安かった”のですが、
役者・声優がデモ行進をされたり、団体交渉などの努力もあって、
数千程度の上がり幅であるものの、ギャランティーが上昇したそうです。
ちょっと脇道にそれますが、事務所に所属している声優が事務所からなんらかの福利厚生を受ける事は稀です
大手の事務所では一部そういった取り組みもあるようですが、少なくとも中小はまずありえません。
これは昔から是正されていない部分でもあります。
ちなみに、現在は加入出来ませんが、日俳連には「年金制度」があります。
・掛け金は1口(1ヶ月)1000円で、100口まで自由
・年金受給は65歳から終身で、口数×加入期間による金額
・積立年金は(1口として)最短5年掛けで年額7320円。最長48年掛けで28万7640円。
・栄誉年金は、加入者一律年額2万4000円(口数に関わりなく)
・休業手当は、14日以上の病気、ケガに対し、1日1000円(77日まで)
・傷害見舞金は、10万円
・弔慰金は、2万円
※現在は加入出来ません。
大分脇道に逸れてしまいましたが、
日俳連に入るということは、日俳連が各TV局・制作会社と結んでいる『団体協約』を遵守する必要があります。
そのひとつが、『ギャランティーのランク』なんですね!
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日俳連のギャランティーランクと実情
日本俳優連合に加入した声優は、加入3年間は「ジュニアランク」といい、30分アニメ1本あたり1万5000円の給料で固定されることとなる。
その後は、加入年数によってF〜Aとランクが上がっていく。
最高ランクのAは1本のギャラが4万5000円
それ以上はノーランクとなりギャラの設定は自由となる
台本に書かれたセリフ一文当たりに値段を設定する「ワード制」といった換算方法もある
一概にすべての声優がランク制に基づくわけではないこともある(日俳連に所属していない声優もいる)。
世間で知られている「声優のギャラ」は、このような情報であると思います。
これ自体は間違っていませんが、
様々な誤解があります!
まず、
仕事によってギャランティーは大きく異なります!
・30分アニメは、俗に言う日俳連のランクが大きく適用される。しかし主役は、ギャラの上乗せがある事がある
・ワード単位でのギャラ設定は、売れっ子かマネージメントをしっかりしている会社でないとあまり無い
・日俳連に所属してない声優は少なくなく、中小の事務所ではかなり多い
これだけでも、大分知られている部分と違いますよね??
なんども言いますが、『声優=日俳連』という認識をお持ちの方はがかなりいらっしゃるようですが、義務ではありません。
これは『事務所の方針』が大きく影響しています。
具体名は挙げませんが、大手事務所はほぼ日俳連加入推奨をしているようです。
再放送出演料や最低金額が決まっているのは、かなりのメリットではありますものね。
では、日俳連に所属しないメリットは一体どういった部分でしょうか??
日俳連に所属しないメリットって?
声優のギャラは「音響制作費から捻出されていて、音響制作費は縮小傾向」という話を先ほどしました。
安価のギャラとは言え、「最低でも1万5000円」というのは、複数人集めただけでもかなりの金額になりますよね。
日俳連の所属をしていないということは、日俳連の団体協約を守る必要がありません。
従って、日俳連に加入していなければ『アニメだろうがCMだろうがギャラを安くも高くも出来る』ということです。
こういった「日俳連のランクに属していない人」事を、
俗に「ランク外」とも言います。
実際の金額はマネージメント能力や制作サイドとの関係性で変わってくると思われますが、30分アニメを100円でも100万円でも交渉次第で突っ込めるわけですから、
中小の事務所が大手と渡り合う為に「1人分のギャラで2人分を出す」などの交渉を行う事が可能なんです。
制作サイドも「一言二言のキャラだし・・・安く済むなら」とか「付き合いがある」等の理由からランク外を使う現場も多いようです。
そのランク外の声優が上手くて人柄も良かったら、リピートされることもあるでしょうし、そうやって売れて行った方も沢山いらっしゃるようです。
ギャラの支払いってどうやって支払われる?
『プロの声優として仕事をする』
きっと一つに夢が叶った瞬間でもあるでしょうね。
事務所経由でギャランティーのお支払いをされるわけですが・・・
どんなに早くても「3~4ヶ月後」になります。・・・というかこれでも早いほうです。
ギャランティーの支払いは、『事務所が声優に払っているわけではなく』、
「制作会社から事務所に振り込まれ、マネージメント料を引かれた額が声優の手元に入る」
つまり、
制作会社から事務所にお金が行かないと、いつまでたってもギャラが振り込まれない
なんて話は最早常識のようです。
良心的な事務所はギャラを立て替えて声優に渡すそうですが、あまり多くないのも実情ですね。
最後に・・・
この記事は、声優業界や現在頑張って夢を追いかけている方々を貶めるような意図はございません。
ですが、実情の一端であることは間違いありません。
夢を追いかける事は素晴らしいですし、声優という職業が人々に夢を与えているのも間違いないと思います。
ですが、どのような業界でもこのような事は存在しますし、特に芸能の仕事には多いようです。
最後までお付き合いありがとうございましたm(__)m
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